2011年04月11日

もう原発は要らない、しかし……

 わたし宛のTwitterメッセージ
https://twitter.com/TIG0906/status/57271349630091264

「致し方なし」は今当事者がそう感じるのはそりゃそうだよなって意。後半の当事者以外の人間の感じ方が主題。現在に限り認めるなら、貴方は代替エネルギーの研究が進んで実用化できるまで原発容認でいいんでしょ?オレはそう思うんだが

 非情な現実に対してとても悔しい、けどその通りです。
 ただし、主張として重要なのは『代替エネルギーの研究が進んで実用化できるまで』という期限のほう。


○(受け入れがたい)原発の欠点

・通常運転時、炉から放射線を撒き散らす。
 ・これにより、保守作業を綿密に行うことが難しくなっている。
 ・環境汚染については、ある種の石炭発電のほうが放射能が酷い。

・事故時の放射能汚染
 ・化学的手法では除去しづらく、無害化には何百年もかかるため、とても深刻。
 ・経済的には風評被害が起こる。国内の食品に対しては勿論、国際的にはあらゆる貿易がやられる。

・現在の世界的主流である原子炉(軽水炉や重水路)は、冷却機能が死ぬとそれだけでメルトダウン確定
 ・冷却にも電気がいる、つまり長時間停電するとそれだけでアウト
  ・当然、防護措置は何重にもとるであろうが、それが一発でやられた例が3/11福島。
  ・4/7の余震で起きた停電で、女川原発も停電が起きた。長引けば第二の福島……
  ・各原発は対策として電源車を配備しているが、給電時間には限界があるから、長時間の非常駆動はできないだろう。
 ・高温ガス炉という、事故っても構造的に臨界を脱するため安全という原子炉もあるらしいが、まだ研究段階。

・使用済み核燃料の完全な廃棄方法が確立できていない。
 ・最終処分場が未だに決まらないため。何処の自治体も嫌がるだろうし。

・使用済みの炉を処分するのに、十年単位の時間と千億円単位の金がかかる。
 ・放射能が落ち着かないことには、取り壊すこともできません。
 ・事故ったらさらにかかる。チェルノブイリは事故から20年以上経ってるけど、あと数十年かかる。福島第一もきっと同じくらいかかる。

そもそも日本人は危機管理が苦手?
 ・技術とマニュアルに傾倒するあまり、危機的状況での判断が鈍いような気がする。
 ・こういうニュース見ていると、とてもそう思う


○(受け入れざるを得ない)原発の利点

・発電量あたり燃料費(買入価格)が安い。

現在の日本の商用電源のベース(昼夜・季節を問わず常に存在する需要分)を支える。35%くらい。

事故さえなければ環境に対してクリーン。
 ・使用済み燃料は置いといて。


 というわけで、今すぐに原発を止めることはできない。
 現状の原発に頼るウェイトが大きすぎるため、代替手段がないという理由で。
 そもそも安全に止めるのにも数年かかるし、火力発電で原発分まで補うのは無理がある。

 ではどうするのが現実的か。
 短期的には手段がない。リスクを認識してより厳重に管理をしながら、節電に努め、現用の炉で何とかしのぐしかない。
 中期的には、高温ガス炉のような論理的に安全な原子炉の開発を急ぐ。廃棄物処理などの問題は残ったままだが、事故リスクが低減できるだけ現状よりはるかにマシなはずだ。
 長期的には、原発にかわる代替のエネルギーを開発し、それを中核とした社会に作り変えること。太陽光発電や風力発電、マグネシウム燃料やR水素など、候補となる技術はたくさんあるはずだ。


○参考

Life is beautiful: エンジニアから見た原発
404 Blog Not Found:原発萌えな私ですら、原発はオワコンと言わざるを得ない理由
福島原発以上に危険性のある高速増殖炉もんじゅで今起きていること - Dive into the Tech World!
HTTR 高温工学試験研究炉 High Temperature engineering Test Reactor
検証・大震災:初動遅れ、連鎖 情報共有、失敗 - 毎日jp(毎日新聞)
posted by きさらぎ at 13:01| Comment(0) | TrackBack(0) | インフラ論
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