節電だけで国難を乗り切ろうと思ったら無理があるし、長期的にもやはり発電をきちんと考えないと。
東京電力福島第一原子力発電所の大惨事を受けて、今後の発電のあり方を、というより使うべき発電技術を考える。
……と思ったんだけど、わたしの意見をだいたい代弁する良記事があった。
【日本版コラム】問われる日本のエネルギー将来像(1) - WSJ.com
原子力発電の代替エネルギーは何か:日経ビジネスオンライン
前者は理念、後者は実現可能性について、わたしの意見をよく代弁してくれる。
それを踏まえて。
○原子力発電
建設当初の耐用年数が過ぎている原発は、危険なので速やかに停止し、廃炉プロセスに移行するべき。もんじゅは論外、危険すぎるので速やかに事故を収拾つけて廃炉プロセスへ。
これらの停止は、残る発電所による給電力とかを気にして、廃炉プロセスを先送りにするべきではない。
残る原発は、耐用年数を過ぎたら停止。あるいは、原発以外の供給能力が増え順次、古いものから順次停止。
最終的にはゼロにするか、高温ガス炉のような事故時の危険性が比較的低いものを極小数のみ運用するか、程度にすべきであると思う。
○火力発電
柔軟性と共に環境負荷の高い発電方法だが、コストが安く、CO2排気量が少なめで、日本の国土からも採掘可能であるため、将来性のある発電方法になりそう。
(関東地方の地下にも大量にある。ただ変な採り方をすると地盤沈下が起きたりするので利用が難しい)
○水力発電、揚水式発電
蛇口をひねれば発電開始、という急な需要増加に即対応できる便利な発電方法。
需要ピーク対応の切り札であるが、これを主力に据えるのは無理な話。
(水力では国土全部の川を使っても出力が全然足らず、揚水式はそもそも蓄電に近い発電施設)
○地熱発電
運転中ほぼメンテナンスフリーというステキな発電施設。日本は火山国なので、利用できる場所は多いはず。
(ただ、近くの温泉地が『影響がある可能性あり』として建設反対することがしばしば)
一歩進んだ地熱発電として、マグマ地帯に水を送り込み、蒸気を作って発電するという『高温岩体地熱発電』というのもある。最近噴火した場所で試してみるといいのかもしれない。
○太陽光発電
最近流行のクリーンエネルギーの主力。初期投資はかかるが維持費用はほとんど要らず、地熱発電以上にメンテナンスフリー。だが欠点も多い。
・出力あたりの設置費用が高い(技術課題)
・一基当たり、面積あたりの出力が小さい(ちょっと技術課題)
・建物の屋根やビルの外壁などを利用し、とにかく広範に設置するのがよい。
・発電力が天候に大きく左右される。ちょっと雲がかかっただけで出力がた落ち。
技術課題は将来的には改善していけるとして、最後のが実はインフラ化の最大の課題。世界に誇る安定性を持った日本の商用電源に対して、出力の不安定な発電施設を主力にするのは現状ではきわめて難しい。
出力増と需要増はリンクしているという意見もあるが、曇ったら出力は落ちるのに需要はそれほど変わらないのが容易に予想され、そうなったら破綻するわけで。
解決には商用電源に『蓄電』の仕組みを組み込む必要がある。
発展技術として『宇宙太陽光発電』なんてものがあるらしいが、まだまだSF的な話である。
○風力発電
クリーンではあるものの騒音公害(低周波公害)がある。発電力も日本ではいまいちで、何より太陽光発電と同じく気象条件(風力)に左右されるため、出力が安定しない。
海洋に建設すれば公害を避けつつ、陸地よりも比較的安定した出力を得られる、という研究結果がある。ただこれで電力需要をすべてまかなうのはやはり無理。
○海洋発電
潮の満干を利用した潮力発電、波の力を利用した波力発電、海面と海底の水温差を利用した海洋温度差発電がある。
潮力発電は、赤道付近であれば大出力が得られるが、特定時間にしか発電できない。
波力発電は、ほぼ常時安定して出力が得られるが、大出力を得るには大量設置が必要。
海洋温度差発電は、安定した出力を期待できるが、まだ研究段階っぽい。日本では沖ノ鳥島に建てる予定があるらしい。
○結論
短期的には火力発電と現役の原発(徐々に減らす)。
中期的には天然ガス火力と地熱発電。
長期的にはさらに太陽光・海洋風力・温度差発電と蓄電技術。
というのが私的にはベストプランのような気がする。
○参考
Life is beautiful: エンジニアから見た原発
404 Blog Not Found:原発萌えな私ですら、原発はオワコンと言わざるを得ない理由
原発だけじゃないよ。たくさんあるぜ代替エネルギー! クールで画期的な次世代発電まとめ : ギズモード・ジャパン
○おまけ?
堀江貴文氏は言いました「俺たちは火を初めて使った動物の末裔である」
危険だからと言って技術を捨てるのは、文明人の所業ではないそうだ。
原発をむやみに全廃すべきではないという、こんな視点からの指摘もある。
放射性廃棄物の処分方法(最終処分場を含む)を確立した上でなら、高温ガス炉のような事故時に安全な炉を残すのは、アリかと思う。
2011年04月19日
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